mixi再録:アクアクララ


mixiで書いてた過去の日記の再録です。



アクアクララのCMの谷原さんは気の毒である。
あんなにこぼして飲むのは、ディレクターの指示に違いないのである。
CM業界の常で、ディレクターはどこかでセクシーさを表現したかったのかもしれない。
けれど、ただただ水がもったいない。そんなCMに仕上がってしまった。
谷原さんはきっと、もっとうまそうに飲みたかったのだ。
長年契約してくれている谷原さんのことだ。水を、それも有料でわざわざてめえの家まで運んでくれるという高級な水を、みすみすこぼしながら飲むなどしたくなかったに違いない。
大地というフィルターが時間をかけてろ過した、宝石のようなミネラルウォーター、アクアクララ…
この大地からの贈り物が豊かにたゆたうグラスとの接吻を、邂逅を、いつも自宅で飲む時と同じように……そう、乙女の唇を吸うように、大事にしたかったのだ、谷原さんは。
自宅に帰った谷原さんは、アクアクララのサーバーを前に、アフリカの子供たちを思ったかもしれない。
俺の口角からこぼれた水が、今日の撮影で床に出来た水溜りが、いったい何人の命を救ったことだろう…
そう言って、自分を責めたかもしれない。
しかし、谷原よ、自分を責めてはいけない。
君の口角からこぼれた水など、誰も飲みたくはないのだ。汚らしい。

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